【2023年版】鉄道業界(JR・私鉄)の就職偏差値ランキング&年収を解説するぞ!!
鉄道業界は、我々の生活に必要不可欠な移動手段の一つである「鉄道(電車)」を運営している。
自動車社会の地方都市はいざ知らず、大都市圏では電車がない生活など、もはや想像もできないだろう!!
しかし、この共通認識を覆したのが「新型コロナウイルス」であった!!
コロナの影響は、主力の鉄道事業のみならずレジャー・商業施設関連事業にまで鉄道会社の手掛ける幅広い事業に影響を及ぼした。
鉄道会社は鉄道だけやっているように思うかもしれないが、主要駅の商業施設や駅周辺の開発も行っており、実は出入国制限による中国人客を中心としたインバウンド需要の消滅もかなりの痛手なのだ!!
JR東海の2018~2020年の売上高は1.8兆円台、当期純利益は約4,000億円で推移していたが、コロナ後の2021年は売上高8,235億、当期純利益-2,015億円(赤字)に転落した。
こんな状況、いったい誰が予想できただろうか・・・。
鉄道業界のビジネスモデル
「コロナウイルスの影響」は一旦横に置いておいて、鉄道事業のビジネスモデルそのものについて理解を深めよう!!
儲かる鉄道会社の条件
「①高単価な乗客」を 「②大量」に「③短い区間」で輸送できること
※つまり「輸送効率の高い会社」はもうかる
この公式でいうと首都圏・大都市圏の路線をみると ①は会社によるが②と③はどこも概ね満たしており、そのため高収益が上がる構造になっている。
一方、日本は少子高齢化で総人口が減少しており、放置プレーをかますと、どんどん魅力のない沿線になり下がり沿線人口が更に減ってしまう。
これにより沿線&駅の魅力を高めるのと同時に、事業の多角化による収益向上ということで、成長を遂げてきた!!
ただし、それを出来るのは大都市圏を管轄エリアとする企業体力のある会社に限定され、地方の赤字路線事業主にとっての現実は厳しい。
なお鉄道会社にはJR系と私鉄の2つがあるが、JR系は1987年にJT・NTTとともに民営化された元国営企業。
また、この業界は初期投資(用地買収、車両、駅の設置など)にかかるコストと時間が尋常ではないため、新規の競合が参入する余地は限りなくゼロに近い。
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鉄道業界(JR・私鉄)の就職偏差値ランキング
【68】JR東日本、JR東海
【65】阪急阪神、東急
【64】JR西日本、小田急
【63】東武、近鉄GHD(近畿日本鉄道)
【62】東京メトロ、JR九州(ななつぼし)
【61】名鉄、西部、京王、京急、京成、京阪
【60】相鉄、西日本鉄道(九州の鉄道路線)
【59】南海電鉄
【58】大阪メトロ 、ゆりかもめ、東京モノレール
【57】つくばエクスプレス(TX)、大阪モノレール
【54】JR貨物(北海道~九州まで)
【53】りんかい線、みなとみらい線
【52】山陽電鉄 、富士急行
【51】JR四国、JR北海道(万年赤字)
【50】広島電鉄、京福電鉄、秩父電鉄、神戸電鉄
【50以下】新京成、伊予鉄道、江ノ島電鉄、箱根登山鉄道、関東鉄道、京葉臨海鉄道、東葉高速鉄道、埼玉高速鉄道
主要企業の解説(JR系列)
ここからJR系列・主要企業の解説にはいるが、基本どの会社もビジネスモデルや仕組みは似たり寄ったり。
2023年の採用人数は、コロナウイルスの影響があるとはいえ、大手各社は数百人単位で採用を継続する方針!!
東日本旅客鉄道(JR東日本)【68】
JR東日本は、青森から静岡までを管轄エリアとし、山手線をはじめ好立地のドル箱路線を数多く抱えている。
2020年の売上高は2兆9,446億円、当期純利益1,984億円
2021年の売上高は1兆7,645億円、当期純利益は-5,779億円と赤字転落。
※2021年の利益剰余金は2.2兆円(前年は2.8兆円)←赤字部分がそのまま利益剰余金から消失。
とはいえ、JR東日本は土地・不動産を含めた総資産は9兆円弱、キャッシュでも2兆円以上を保有する不動産デベロッパーをも圧倒する巨人。
公共性・規模の観点から、倒産する心配はまずないと考えて良い!!
JR東日本の売上構造の変化
2020年→2021年の売上高の割合は、運輸事業(67.9%→62.1%)、流通・サービス(17.4%→18.0%)、不動産・ホテル事業(11.6%→15.4%)、その他(3.1%→4.5%)で推移。
※流通・サービス事業は駅構内の店舗開発などを指す。
売上高の中身には大きな変化はないものの、主要事業の大半がコロナの影響を直接受けるものが多い点が大きな赤字の要因となった。
2020年の年収は719万円(38.8歳)
2021年の年収は674万円(38.9歳)と減少。減少は不可避だろう。
高卒者が数多く含まれるため大卒者は+100~200万円(役職による)で考えてほしい。
内定者の学歴は、意外に思うかもしれないが超高学歴の学生に集中する訳ではなく、日本全国の様々なレベルの大学から採用している。
他のJR系各社にも共通しているが、東大卒、難関大卒者はあらかじめ幹部要員として採用の段階からエリートフラグが立てられており、入社後は、昇進などを含め見えない壁があるので注意(これは元国営なので仕方ない)!!
西日本旅客鉄道(JR西日本)【64】
JR東日本の西バージョンで、山陽と北陸新幹線が鉄道事業の柱。
2020年の売上高は1.5兆円、当期純利益は893億円
2021年の売上高は8,981億円、当期純利益は-2,332億円と赤字転落
※2021年の利益剰余金は6,968億円(前年は9,562億円)←こちらも赤字部分がそのまま利益剰余金から消失。
こちらもJR東日本と同様、大幅な赤字転落となった!!
大阪が本社で、山陽新幹線、北陸新幹線の上越妙高駅 – 金沢駅間、北陸3県・近畿地方・中国地方の大部分と信越地方・福岡県の一部の在来線を管轄している。
JR西日本の売上構造の変化
2020年→2021年の売上高の割合は、運輸業(62.4%→53.1%)、流通業/駅ナカ店舗・百貨店などの売上(16.1%→15.8%)、不動産業(9.7%→16.2%)、その他(11.9%→14.8%)
利益率は高い順に、不動産が24.0%、運輸業が14.3%、流通が2.5%となっており、利益率の高い不動産事業の売上高を伸ばすのが当面の戦略になる。
JR西日本は、2005年に起きた福知山線事故(106名が亡くなった)を教訓に「安心・安全」を最優先項目として経営することを念頭においている。
内定者の学歴と入社後の待遇は、JR東日本とほとんど変わりはないが、関西の会社なのでマーチより関関同立(特に同志社)・産近甲龍からの採用者が多い。
東海旅客鉄道(JR東海)【68】
愛知県を本拠地とする会社で、圧倒的な利益率を誇る鉄道業界の超優良企業!!
冒頭にもお伝えしたが、改めて経営状況をみてみよう。
2020年の売上高は1兆8,446億円、当期純利益3,978億円 ←利益率は圧倒的
2021年の売上高は8,235億円、当期純利益は-2,015億円と赤字転落。
※2021年の利益剰余金は3.5兆円(前年は3.7兆円)とJR東日本、西日本と比較してもキャッシュリッチなことがわかる。
JR東海は、東海地方を主とした中部地方を管轄にしているが、売上高の構造を見ると、JR東日本、JR西日本とは少し異なる!
それは東海道新幹線の存在だ!!
以下、コロナウイルスが直撃する前の通年データをご覧頂きたい。
2019年度JR東海アニュアルレポート
売上高の77%(14,491億円)が運輸業で、その内88%(12,918億円)が東海道新幹線が占める。
東京-名古屋-京都-大阪というビジネスと観光の要所を結ぶ新幹線の利益率は30%台後半と非常に高い!!
JR東海は、2027年には時速500キロで品川~名古屋間を40分で結ぶ「リニア中央新幹線」の開通を予定していたが、コロナの影響と、地元住民の反対で一時工事を中断するなどの事態にも見舞われ、まさに2020年は踏んだり蹴ったりの年になってしまった。
それでもJR東海の平均年収は鉄道会社の中でもトップ水準で、2020年は736万円(36.7歳)→2021年は713万円(36.5歳)と減少。
大卒なら40歳で1,000万円は狙える!!
JR九州【62】、JR北海道【51】、JR四国【51】、JR貨物【54】
会社の規模でいうと、JR九州>JR貨物>JR北海道>JR四国の順番。
実はコロナウイルスに関係なく、JR九州、JR貨物以外は元々厳しい事業環境が続いていた。
これは、まさに冒頭に述べたように「輸送効率の低さ」からくるもので、収益がどうしても低くなってしまう構造的な問題がある。
✔JR九州は高級観光列車「ななつ星」がシニア層に大人気で地方鉄道としては優良企業に属する!!
✔JR北海道はずっと万年赤字でおそらく今後も黒字化するのは難しい。無理もない・・・あんなに広大なエリアに鉄道網を張り巡らせても、効率面ではどう考えても悪い!!コロナウイルスの影響で利用客はさらに激減。
✔JR四国もJR北海道と同じ理由で赤字。長距離を走行して乗客が少ないとどうしても赤字になってしまう!!
✔JR貨物は北海道から九州まで全国に荷物を運ぶ会社で、近年のドライバー不足によりJR貨物の需要が急増している!!ずっと赤字続きだった会社だったが、そんな理由でここ最近の業績は絶好調だ!!コロナウイルスの影響で物流が制限されたこともあり、その存在意義が見直されている。
主要企業の解説(私鉄系)
以下、私鉄系主要企業の解説になるが、コロナの影響はJR系と基本は同じだ!!
東急電鉄【65】
東京急行電鉄(株)は、渋沢栄一が田園都市開発を目的に設立した会社。
単に土地だけ開発しても人が移動できないと意味がないということで、鉄道もセットにして発展してきた100年近くの歴史ある企業。
鉄道事業をメインに事業運営を行ってきたが、1953年に不動産部門を切り離し、東急不動産としてそれぞれが独立経営をしてきた。
そんな東急電鉄が2019年9月に社名を東急(株)に変えることを発表し、鉄道事業は100%子会社の東急電鉄が継承することに。
渋谷駅を拠点に大規模開発を進めており、渋谷ヒカリエ、渋谷キャストなどに続き、2018年には大規模商業施設「渋谷ストリーム」を開業している。
無論、私鉄の中では一番規模が大きい優良企業だ。40歳で平均年収737万円!!
小田急電鉄【64】
小田急線、小田急百貨店などを運営する会社。
売上の内訳は、34.4%が運輸業、38.8%が流通業(小田急百貨店など)、10.6%が不動産業、16.2%がその他。
平均年収は40.1歳で763万円
東武鉄道【63】
東武鉄道は運輸事業(東武線)に加え、スカイツリー&ソラマチ、東武百貨店、東武動物公園なども運営している優良企業。
流通事業(東部百貨店の経営)、不動産事業(スカイツリータウン)が好調だったがコロナの影響で大ダメージ。
平均年収は46.6歳で712万円
東京地下鉄道株式会社(東京メトロ)【62】
東京23区を中心とした首都圏の大動脈・東京メトロを運営しており、営業利益は関東私鉄首位!!
主な路線は以下の通り。
日比谷線 (北千住駅 ~ 中目黒駅)
銀座線 (浅草駅 ~ 渋谷駅)
丸ノ内線 (池袋駅 ~ 荻窪駅)
東西線 (中野駅 ~ 西船橋駅)
南北線 (目黒駅 ~ 赤羽岩淵駅)
有楽町線 (和光市駅 ~ 新木場駅)
千代田線 (綾瀬駅 ~ 代々木上原駅)
半蔵門線(渋谷駅 ~ 押上駅)
流通事業、不動産事業、広告・情報通信事業を展開している。
流通事業は、駅直結の「Esola池袋」や駅構内の「Echika」「Echika fit」「Metro pia」といった商業施設を展開している。
不動産事業は、東京メトロ沿線を中心にオフィスビル、ホテル、住宅、ゴルフ練習場、レンタル収納スペースを展開している。
広告・情報通信事業は、車内の「中づりポスター」や駅構内の「駅ばりポスター」など。
京王電鉄【61】
京王線(新宿駅~京王八王子駅)、京王百貨店などを運営している。
収益は非常に安定している優良企業!!
運賃が安いのもポイントだ!!
平均年収は40.3歳で712万円。
京浜急行電鉄(京急)【61】
京急線(東京、神奈川中心)、京急ストア、京急EXイン、京急不動産、京急建設、京急電機などを運営している。
38歳で平均年収は695万円。
京成電鉄【61】
京成線(東京、千葉方面)、京急スカイライナー、京成ストア、水戸京成百貨店、京成不動産、京成タクシーホールディングス(タクシー事業)などを運営している。
成田空港へのアクセスが強み!!オリエンタルランドの筆頭株主でもある
42歳で平均年収は741万円。
関西の鉄道
阪急阪神ホールディングス【65】
阪急電鉄・阪神電鉄
都市交通事業、大阪、神戸、宝塚、京都の阪急電鉄沿線を中心に鉄道事業を展開している。
不動産事業は、梅田と沿線地域で、賃貸・開発事業を展開しており・・・
梅田エリアのハービスOSAKA、ハービスENT、ウイステ、エビスタ西宮といった駅前や高架下の開発を進めている。
2020年の売上高は7,626億円、当期純利益548億円
2021年の売上高は5689億円、当期純利益は-376億円
※2021年の利益剰余金は6,360億円(前年は6,850億円)と赤字幅が小さいのでその分余裕がある。
2020年度の平均年収は、41.8歳で878万円(ただし持ち株会社の年収)
近鉄グループホールディングス【63】
近畿日本鉄道
大阪-奈良間の500kmを超える私鉄最大規模のスケールを誇る鉄道事業・観光事業を展開している。
2020年の売上高は1兆1942億円、当期純利益205億円
2021年の売上高は6,972億円、当期純利益-601億円と赤字に。
※2021年の利益剰余金は408億円(前年は1100億円)←もともと近畿日本鉄道は収益力が低いため、これまで利益をため込むことが出来ておらず、この数字だけを見ると早々に融資を受ける必要がある。
2021年の平均年収は45.7歳で720万円(ただし持ち株会社の年収)。
上場鉄道会社(JR&私鉄)の年収ランキング
巻末付録として上場企業の年収一覧を掲載しておく(コロナ前のデータになるが、相場観として参考にしてほしい)。
HDはホールディングスを意味する、持ち株会社の年収なので参考までに。
順位 | 企業名 | 平均年収 | 平均年齢 | 売上高 | 当期純利益 |
1 | 相鉄HD | 900万円 | 50.8歳 | 2,605億円 | 183億円 |
2 | 阪急阪神HD | 876万円 | 41.3歳 | 7,914億円 | 654億円 |
3 | 京阪HD | 816万円 | 43.9歳 | 3,261億円 | 214億円 |
4 | 西武HD | 814万円 | 39.3歳 | 5,659億円 | 454億円 |
5 | 近鉄GHD | 803万円 | 46.2歳 | 1.2兆円 | 359億円 |
6 | 小田急電鉄 | 763万円 | 40.1歳 | 5,266億円 | 324億円 |
7 | 京成電鉄 | 741万円 | 42.0歳 | 2,615億円 | 386億円 |
8 | 東急 | 737万円 | 40.0歳 | 1.1兆円 | 578億円 |
9 | 東海旅客鉄道 | 734万円 | 36.9歳 | 1.8兆円 | 4,387億円 |
10 | 東日本旅客鉄道 | 715万円 | 39.4歳 | 3兆円 | 2,952億円 |
11 | 東武鉄道 | 712万円 | 46.6歳 | 6,175億円 | 280億円 |
12 | 京王電鉄 | 712万円 | 40.3歳 | 4,475億円 | 272億円 |
13 | 京浜急行電鉄 | 695万円 | 38.0歳 | 3,392億円 | 207億円 |
14 | 新京成電鉄 | 687万円 | 39.3歳 | 214億円 | 26億円 |
15 | 西日本旅客鉄道 | 669万円 | 39.5歳 | 1.5兆円 | 1,027億円 |
16 | 南海電気鉄道 | 609万円 | 42.4歳 | 2,274億円 | 130億円 |
17 | 名古屋鉄道 | 604万円 | 43.9歳 | 6,225億円 | 304億円 |
18 | 富士急行 | 574万円 | 40.9歳 | 544億円 | 20億円 |
19 | 西日本鉄道 | 567万円 | 44.7歳 | 3,968億円 | 63億円 |
20 | 山陽電気鉄道 | 566万円 | 41.6歳 | 514億円 | 22億円 |
21 | 九州旅客鉄道 | 550万円 | 40.5歳 | 4,403億円 | 492億円 |
22 | 広島電鉄 | 537万円 | 46.2歳 | 365億円 | 6億円 |
23 | 京福電気鉄道 | 524万円 | 39.3歳 | 124億円 | 6億円 |
24 | 秩父鉄道 | 517万円 | 42歳 | 52億円 | 1億円 |
25 | 神戸電鉄 | 512万円 | 42.4歳 | 229億円 | 12億円 |
出所:有価証券報告書
まとめ
以上が、鉄道業界主要企業の説明になるが、コロナの影響がとにかく大きいことがよくわかったと思う。
鉄道会社のビジネスモデルには莫大な投資がかかっており、そうやすやすと方向転換をすることは難しいが、コロナの教訓を活かし、事業の多角化や、高収益事業でいかに稼ぐかが生き残りのカギになるだろう。
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