冒頭からいきなりで申し訳ないが・・・化学・素材メーカーは非常に地味な業界だ!!
しかし、そんなことは関係ない!!
この業界に興味を持った貴方・・・
あなたは非常に現実主義で賢い人だ!!
化学メーカーは日本の技術力の結晶
例えサムソンであろうが何だろうが、日系化学メーカーの素材がなければ、最終完成品をつくることはできない!!
※多くの日本企業が世界から取り残される中、数少ない世界で戦える業界でもある。
これはプラモデルを組み立てる時に、1つでもパーツが足りないと、最終的に作品が完成しないのと同じ理屈だ。
その理由は、日系化学メーカーの製造する素材の品質(技術力)が高すぎて、他に製造できる代替企業が存在しないからだ!!
従い、パーツとなる素材の供給を止めた時点で、超巨大メーカーであろうが何だろうが息の根を止めることが出来る!!
そういう訳で、一見地味に見えるかもしれないが、世界における日本の化学メーカーの存在は別格!!
そのため、日系化学メーカーは経営の安定している会社が多く「年間休日数多め、有給消化率高め、残業時間が短め」とホワイト企業の宝庫となっている。
コロナウイルスの影響
そんな超優良業界の筆頭である化学メーカーのほぼ全ての会社が、コロナの影響で大幅な減益に見舞われる事態となった。
いくら世界トップクラスの技術とシェアを持つ会社といえども「そもそもの需要」が減ってしまってはどうしようもない・・・
※(注)化学メーカーは自動車以外にも、半導体・電子部品など世の中のありとあらゆる企業に素材を提供している。
コロナ禍における自動車の販売数量は、非常事態宣言・ロックダウンの影響により、前年比マイナス22.6%になるなど、そのダメージは想像以上に大きかった。
特に、自動車用の素材に力を入れていた財閥系化学メーカーのダメージはなかなか深刻で、これにより各社大幅な収益ダウンに見舞われることとなった。
コロナ禍における化学メーカー各社の「重要な懸念点」は、これまでイケイケドンドンで進めてきた設備投資の需要が見込み通り回収できるのかという点であったが、コロナ後の市場の回復が想定以上に早く、加えて産業構造の大きな転換も追い風になり、総需要が一気に増加することになった!!
化学メーカ内のほとんどの会社が、コロナ禍で減収に見舞われる事態に陥ったが、その後は一転して超回復!!
自動車向け部材の販売好調に加え、石油化学関連の市況が高い水準で推移したことも追い風になり、過去最高益をたたき出す会社が続出、業界は一転に好景気に見舞われている!!
前置きはこれくらいにして、まずは就職偏差値ランキングをご覧あれ!!
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【2023年版】化学・素材メーカーの就職偏差値ランキング
Sランク
[68] 信越化学[67] 三菱ケミカル
A+ランク
[66] 住友化学 三井化学 東レ[65] 旭化成 富士フイルム
[64] 積水化学 大陽日酸 三菱ガス 昭和電工 日東電工
Aランク
[63] 三菱ガス化学 東ソー 宇部興産 帝人[62] クラレ 日立化成 エア・ウォーター
Bランク
[61] カネカ 日本触媒 日本ゼオン 日産化学 日本ペイント 三菱レイヨン ダイセル[60] ADEKA 電気化学 関西ペイント 高砂香料 日本化薬 日清紡[59] 長谷川香料 三菱樹脂 日本エアリキード 東洋インキ トクヤマ 東洋紡 東京応化Cランク
[58] クレハ 大日精化 日本曹達 住友ベークライト 東亞合成 日油[57] 三洋化成 コニシ サカタインクス 新日鐵化学 JNC セントラル硝子 JSP[56] アイカ 石原産業 堺化学 住友精化 本州化学 積水化成品 曽田香料 ユニチカ 日本高純度化学Dランク
[54] 荒川化学 関東電化 ダイソー 四国化成 積水樹脂 日亜化学 ニチバン 日本ピグメント テイカ 大塚化学[53] リケンテクノス 日本合成化学 ハリマ化成 藤倉化成 日本精化 日本農薬 未来工業 エスケー化研[52] 第一工業製薬 日本カーリット 第一稀元素化学 大阪有機化学 大日本塗料 北興化学 多木化学 保土谷化学[50] 日東紡 日本化学 日本化成 田岡化学 川崎化成 群栄化学 タキロン 伊勢化学 関西熱化学 シーアイ化成[48] 大倉工業 コープケミカル 東洋合成 有機合成薬品 チタン工業 片倉チッカリン 日東エフシー[46] クラボウ 日本カーバイド ラサ工業 旭有機材 児玉化学就職偏差値ランキングの解説
文系と理系の仕事内容
例えば、三菱ケミカル、住友化学、三井化学といった総合化学メーカーは、基礎材料から誘導品、最終製品まで一貫して生産しており、これは理系出身者が担当することになる。
文系出身者は最終完成品を製造するメーカーなどに出向き、素材の販売先を確保したり、コーポレート部門(経理、人事、総務、法務、購買、物流、情報システム、知的財産など)での仕事が中心になる。
※理系出身者もコーポレート部門に異動になる場合がある
理由は1社あたりの採用人数が少ないことがあげられる!!
例えば、Sランクの信越化学工業は、売上高1.5兆円超の大手企業だが、年間採用人数は10~15名とかなりの狭き門となっている!!
化学・素材メーカーの平均年収
この業界の平均年収は637万円(40歳)で、数字だけをみると特別に高い訳ではない!!
これだけ安定して利益が出ているのなら、もう少し社員に分配しても良いと思うが、ここは控えめの水準になっている。
そのため就職偏差値ランキングでは、どうしても「財閥系企業」は上位にランクインされてしまう!!
※コロナ以降、特に財閥系化学メーカーの純利益がガクンと落ちたが、それでも年収水準は概ね維持されている。これは大きなポイントである。
Sランク企業: 信越化学工業、三菱ケミカル
信越化学工業【68】
信越化学工業の2021年(会計上の「年」以下同じ)の売上高は約1.5兆円、当期純利益2,937億円と業界内でもケタ違いの利益が特徴の超優良企業!!
過去3年間の売上高は安定して推移しており、収益も過去5年間で倍以上(2016年当期純利益:1,279億円➡2021年:2,937億円)と推移。
※コロナ以降、業界各社(特に財閥系)が軒並み純利益を減らす中、信越化学工業は高い利益水準を維持している。2022年は上半期で2,200億円の純利益を計上しており、通年では5,000億円に迫る利益が期待できる。
この会社の強みは、塩化ビニールと半導体ウエハーで、それぞれ世界シェア1位をキープ!!
塩化ビニールは建築材(下水パイプ、電線ケーブルなど)に使用され、安全性や耐久性に優れていることに加え、環境に優しいのが素晴らしい。
半導体ウエハーは自動車、PC、スマホ、パソコンなどのあらゆる生活必需品に使用されており、なくてはならない存在。
なお、半導体ウエハーは日系企業上位2社:信越化学 & SUMCO(三菱マテリアルと住友金属工業の合弁会社)で世界シェアの6割を占める。
信越は売上の7~8割を海外で稼ぐなど、他社と比較してもグローバル化が進んでおり、海外駐在のチャンスも豊富!!
海外勤務の場合は、30代でも年収2,000万円ほどに到達。
日本国内の平均年収は848万円(42.2歳)で、管理職に昇進した場合は年収1,100~1,200万円が相場。
20代~30代前半までの給料は(例)30歳で600万円(手当込み)とそれほどでもないが、安定して定年まで勤められる優良企業。
三菱ケミカルHD【67】
三菱化学、三菱樹脂、三菱レイヨンが2017年に合併して出来た会社で、2021年の売上高3.3兆円と国内有数の巨大企業。
三菱ケミカルのコロナ前(2017~19年の3年間)の純利益は、年間1,500~2,100億円と好調に推移していたが、2020年は新型コロナウイルスの影響で540億円、2021年は-75億円と赤字転落。
傘下には三菱ケミカル・アドバンス・マテリアルズ、日本ポリプロ、日本ポリエチレン、太陽日酸、田辺三菱製薬などの会社がある。
事業内容は、機能商品、素材、ヘルスケア3分野で、その内、素材分野の売上が5割、機能商品分野が3割を占める。
①自動車・航空機(モビリティ)
②IT・エレクトロニクス・ディスプレイ
③メディカル・フード・バイオ
④ヘルスケア
⑤環境・エネルギー
⑥パッケージング・ラベル・フィルム
海外売上収益比率が40%超とグローバルに事業を展開してるのが大きな特徴!!
なお、有価証券報告書には平均年収1,010万円(45.6歳)というデータが記載されているが、これは持ち株会社の201人を対象にした給与なので鵜呑みにしてはいけない。
合併前の年収は、三菱化学が710万円(41.8歳)、三菱レイヨンが651万円(41.8歳)、三菱樹脂は658万円(42.7歳)となっていることから、2019年は850万(42歳)と予測。
2022年以降は、業績好調に伴い更なる年収増が期待できる。
ちなみに、20代の年収は控えめで、毎年の昇給額は6,500円程度で推移する。
ランクA+:住友化学、東レ、旭化成、富士フィルム、三井化学、他
住友化学【66】
住友化学の2021年の売上高は2.3兆円、当期純利益460億円と国内2位の規模を誇る総合化学メーカー。
※コロナ以前は年間の純利益が1,000億以上あったが、コロナ以降(2020~2021年)は半分程度に落ち込んだ。しかし、2022年は売上高2.7兆円、当期純利益1,400億円と過去最高益を見込む。
主な事業は①石油化学部門、 ②エネルギー・機能材料部門、③情報電子化学部門 、④健康・農業関連事業部門、⑤医薬品部門の5部門。
そのうち①石油化学部門の売上高が約7,500億円と大半をしめる。
その他②~④の部門も3,000~5,000億円の売上高を稼ぐなど、事業ポートフォリオのバランスが良い。
事業所は国内11拠点に対し、海外は77拠点と積極的に海外展開を推進している。
現在同社は、働き方改革に力を入れている(年間有給取得日数は平均14.3日)
なお、年収は855万円(41.0歳)と業界最高峰レベルだ!!
三井化学【66】
三井化学の2021年の売上高は1.2兆円で当期純利益が578億円。
2019年の純利益が761億円➡2020年は379億円➡2021年は578億円で推移。
事業セグメントは、自動車、ヘルスケア、フード&パッケージング、基盤素材の4分野。
スマートフォン用のカメラレンズ、半導体製造工程用テープなどの世界シェア1位で、その他にも高いシェアを確保している材料が多数ある。
売上高に占める海外の割合は45%で世界30か国、170拠点に事業展開している。
年収836万円(41.0歳)と規模・利益の割に社員の待遇が良いのが特徴!!
東レ【66】
東レの2021年の売上高は1.8兆円、当期純利益458億円の化学繊維メーカー!!
※2022年の売上高は2.2兆円、当期純利益930億円とこちらも増益を見込んでいる。
ポリエステル、ナイロン、アクリルという3大繊維を生産し、衣料用の原糸から生地、縫製品まで一貫して展開している。
共同開発によって生まれた代表的な商品は、ヒートテック、エアリズム、ウルトラライトダウンなどの高機能商品があり、ユニクロ躍進の陰に東レあり!!
炭素繊維という日本が世界に誇る先端軽量素材である「炭素繊維」のパイオニアでもありこの分野で4割のシェアを保有する。
年収は2021年は一時的に671万円(39.0歳)に下がったが、2022年はコロナ前の720万円(38.5歳)を超えることが予想される。
社員の平均年齢が30代後半と若い人が多い会社。
旭化成【65】
旭化成の2021年の売上高は2.1兆円、当期純利益が797億円の総合化学メーカー!!
※2022年の売上高は2.4兆円、2,220億円を見込んでいる。
マテリアル、住宅、ヘルスケアが経営の柱で、売上の割合はマテリアルが54.7%、住宅30.7%、ヘルスケア14.7%となっている。
マテリアル領域は、樹脂などの原料となる基礎化学品、繊維素材、サランラップなどの消費財、バッテリーセパレータや、LSI・センサ製品の電子部品など多種多様だ。
とにかく、切れない!!びっくりするくらい本当に、切れないのだ(笑)!!
日本のサランラップを海外に持っていくと、その性能に驚かれることが多いが、これはメーカー各社の技術力の高さを象徴する一つの例だ。
2021年の平均年収は750万円(41.5歳)で、30代半ばまでは年功序列のため年収にはあまり差がない。
管理職に昇進した場合は30代後半でも年収1,000万円に到達する。
富士フイルム【65】
富士フィルムの2021年の売上高は2.2兆円、当期純利益1,812億円の巨大企業だ!!
※2019年の純利益が1381億円➡2020年は1249億円➡2021年1,812億円と業界各社がコロナ禍で軒並み減収となるなか、前年増の実績はさすが!!
この会社は元々はカメラのフィルムを製造していた会社だが、デジカメの台頭によりそれらの市場が完全消滅した。
化粧品事業、医薬品事業、再生医療事業が主な事業であるが、元々技術力の高い会社であったため機能性などを追及して市場シェアを確保することができた。
他の会社と比べて少し異色な会社に見えるかもしれないが、非常に安定感のある優良企業である。
新型コロナウイルスの特効薬「アビガン」をグループ会社の富山化学工業が開発したことも話題に!!
平均年収は969万円(45.5歳)というデータがあるが、これは持ち株会社(ホールディングス)年収のため、規模感などを考えると800万円台(42歳)が実際の相場。
積水化学、昭和電工、日東電工【64】
積水化学は、2021年の売上高が1兆円を超える大企業で、当期純利益も415億円(前年は589億円)とコロナ禍でも底堅い経営基盤を見せつけた。
昭和電工は、2020年の売上高9,064億円で当期純利益730億円(前年は1,115億円)の実績。2021年は売上高1.4兆円、純利益820億円の見込み。
※昭和電工はHDの中核となる円盤部で世界首位級
※昭和電工は1月~12月決算。
日東電工は、2021年の売上高7,610億円で当期純利益は761億円(前年は471億円)の実績。コロナ禍でも売上高と純利益を伸ばした会社。平均年収は733万円。
Aランク:三菱ガス化学、太陽日酸、東ソー、宇部興産、帝人、他
【63-62】三菱ガス化学 大陽日酸 東ソー 宇部興産 帝人 DIC JSR クラレ 日立化成 エア・ウォーター
売上高1兆円未満で当期純利益数100億~1,000億円未満の会社がランクインしている。
このゾーンに来ると、知名度が一気に落ちるため、名前を知らない人も多いと思うが、世界シェアの高い製品を多数保有する優良化学メーカーの宝庫である!!
✔三菱ガス化学:半導体素材のBT積層板、脱酸素剤など様々な分野で世界シェア1位
✔太陽日酸:産業用ガス国内最大手、世界シェア5位
✔東ソー:苛性ソーダ、塩化ビニルは国内トップ、CSMは世界1位
✔宇部興産:リチウムイオン電池の電解液で世界有数
✔JSR:合成ゴムで世界5位、国内トップ
✔日立化成:リチウムイオン電池向け負極材で世界首位
おすすめ優良化学メーカー
✔伊勢化学工業:ヨウ素の生産と供給世界トップシェア
✔住友ベークラフト:半導体封止材で世界首位
✔ダイセル:LEDの生産に必要なエポキシ樹脂の世界トップ
✔東洋インキ製造:インキ国内首位、世界2位
✔トクヤマ:半導体向け多結晶シリコン世界最大手
✔日亜化学工業:蛍光体、リチウムイオン電池用正極材料、LEDの3本柱が各世界1位
✔日本高純度化学:金メッキ薬品で世界50%
✔本洲化学工業:国内唯一の酸化防止剤生産、世界トップシェアも多数
✔ミライアル:シリコンウエハ搬送容器で世界一
✔リンテック:粘接着素材で最大
まとめ
2020年~2021年はコロナの影響で、化学メーカーも一時的な減益に見舞われたが、そこから一気に盛り返し2022年は過去最高益の利益を見込んでいる会社も多く、勢いに乗っている業界の一つといえる!!
冒頭にも伝えたように、化学メーカーは技術力もあり、ビジネスモデルもしっかりしているので、一時ダメでも過度に悲観的になることは無いのだ!!
堅実で真面目な社員が多く、一つの事にじっくり真面目にコツコツと向き合える人には最高の職場だろう!!
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✔まずはコロナ禍でも超安定している業界
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