パワハラという言葉は、随分と世の中に浸透してきました。
これまでは上司から理不尽なことをされても「仕方がない」の一言で済まされていたことでも、ハラスメントの社会的認知が広がったお陰で泣き寝入りをしなくて済むようになってきました。
厚生労働省のサイトによるとパワハラは以下のように定義されています。
職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。
引用元:パワーハラスメントの定義
実際にパワハラの被害にあうと、心身に様々な症状が現れます。
・会社に行こうとすると吐き気がする
・夜、安心して熟睡できない
・仕事でミスが増える
・強迫観念がつきまとう
また、このような上司の下で働くと、チーム全体にも悪影響が起こります。
・職場の雰囲気が重くなる
・チームのやる気が下がる
・休んだり欠勤したりする人が増える
・仕事以外の話をしなくなる
ここで問題なのは、これらパワハラの被害を受けている人が「パワハラを受けている」ことに気が付かない場合があるということです。
職場でパワハラを指摘することで、上司から人事評価をマイナスにされるのではないか?会社にいずらくなるのではないかと考え、声を上げることが出来ない人もかなり多いです。
以下にチェック項目を用意しましたので、あなたの上司の行動がパワハラに該当するかを確認してみて下さい。
もし、あなたがこれらの項目に当てはまっていたら、パワハラを受けている可能性がありますので、至急対策を取りましょう。
<チェック項目>
・暴言、暴力
・価値観の押し付け
・公開処刑をする
・マイクロマネジメント
・勤務時間を無視
・仕事をさせない
これらを順番にみて行きましょう。
暴力や暴言
殴る蹴る、髪の毛を引っ張る、机の上を叩くなどの行為。他の社員が見ている前で、減給、降格などをチラつかせる、「お前は無能だ」、「よく入社できたな」、「新入社員の方がよっぽど使える」などの全人格を否定するような発言を繰り返す。
価値観の押し付け
「できない理由はなぜ?」「これぐらい常識でしょう」「あなたの思考回路は理解できない」など、自分の価値観を軸にして、それ以外のやり方、考え方を認めることができない。でも、指導としては抽象的なため、言われた方はどうしたら良いのか分からず、永遠に罵倒される無限ループに陥る。
公開処刑
仕事で失敗をしたときに、これ見よがしに職場のメンバーにミスを言いふらして揶揄する。みんなが見ている前で、失敗に対する厳しい指導を行い、本人のプライドと尊厳を傷つける行為。こういう事が日常的に行われていると、他のメンバーも次は自分が標的になるのではないかという萎縮してしまう。
マイクロマネジメント
本人のスケジュールをガチガチに管理して、一切の裁量を与えないこと。「これもう終わっているよな」「まだそれしかできてないのか」「いつできるんだ」このような発言は相手のことを全く信頼しておらず、常に疑いの目で見られているような気がして、非常に息が詰まる。まったく生きた心地がしません。
勤務時間を無視
勤務時間外の深夜や休日・祝日でも電話や、メールチェックを強要される。これでは、安心して休むことが出来ないし、プライベートな時間にまで無給で仕事を強制させられている状態。また、個人的なつきあいやイベントの参加に強制させられるといったことも該当する。
仕事をさせない
「君は仕事の進捗が遅いから他の人に手伝ってもらおう」といって仕事を本人にさせないのも、一見相手のことを考えているように見えて、パワハラに該当します。仕事をするために会社に行っているのに「仕事がない」という状態は「あなたの居場所はここにはない」と言っているようなもので、尊厳を著しく傷つけます。
注意点とその対応策
ここまでパワハラ上司の特徴をみてきましたが、一つだけ注意点があります。
「受け手がパワハラだと思ったら全てがパワハラになる訳ではない」という点です。
この理論が成立してしまうと、管理職はなんにも出来なくなってしまいます。
この辺りは、厚生労働省の定義をみても以下のように記載があります。
業務の適正な範囲…業務上の必要な指示や注意・指導を不満に感じたりする場合でも、業務上の適正な範囲で行われている場合には、パワーハラスメントにはあたりません。例えば、上司は自らの職位・職能に応じて権限を発揮し、業務上の指揮監督や教育指導を行い、上司としての役割を遂行することが求められます。
引用:パワーハラスメントの定義
つまり、どこまでがパワハラになるかはケースバイケースということです。
こうなると・・・なんだか振り出しに戻ったような気もしますね。
でも大丈夫です!!
もし、パワハラかどうか迷った時は、以下を判断基準としてください。
・上司の行為は仕事をするうえで、合理的に考えて必要かどうか?
・大声で怒鳴る必要はあったか?
・同僚の前で、指導(罵倒)をする必要があったか?
・必ずそのやり方でやる必要があったか?
・休日、祝日に電話、メール連絡をする必要があったか?
これらの合理的な理由がない場合は、パワハラに該当する可能性が高いです。
また、第三者がその状態を見たらどう考えるか、という客観的な視点を大事にして下さい。
パワハラ上司の頭の中
ここまで上司の行為がパワハラに該当するのかどうかを見てきました。
では、パワハラをする上司ってどういうメカニズムでこういうことをしてくるのか考えてみましょう。
一言で表現すると、以下の通りです。
器が小さいスキル不足の人間
そう、彼らは自分に自信がないのです。これが根源的な要因です。
・部下から認められたい
・部下から舐められたくない
・部下に追い越されたくない
・自分の威厳を保ちたい
それから根本的にマネジメントスキルが不足しています。
・価値観を許容できない
・自分のやり方でしかできない
・相手の気持ちが理解できない
・コーチングのやり方を知らない
・部下の育成ができない
最後に、世の中の環境変化についていくことが出来ていない人材です。
世の中で、これだけパワハラについての認識が広がっているのに、そういうことをすること自体、大きなリスクを伴います。
スマートな人は、時代の環境変化に合わせて、自分自身を変えられるものです。
でも、パワハラをする人はそういうことが出来ない人達なのです。
過去の自分の実績や奢りから、このようなパワハラ行為をしてしまうのだと思います。
具体的にすべき対策
まず、上司の行動がパワハラだと確信したら、自分自身がつぶれる前に、急いでアクションを起こしましょう。
黙っていても誰も助けてくれません。自分の身は自分で守って下さい。
もし、そのまま我慢をして「うつ病」にでもなったら大変です。
うつ病は、一回治ったかのように見せかけて、何度もやってきます。絶対に手遅れになる前に手を打って下さい。
具体的には、以下の対策をとりましょう。
まず、最初に職場のコンプライアンス室に連絡して助けを求めること。
先輩や同僚に相談するのもありですが、結局なにもアクションせずにずるずるいくという事にもなりかねないので、私はコンプライアンス室をお勧めします。
いきなり、深刻な相談をするのが嫌な場合は「素朴な疑問ですが・・・今の上司のこれらの行為はパワハラにあたるのでしょうか?」と聞いてみましょう。
それでも会社のコンプライアンス室はハードルが高いという場合は、あるいは会社にコンプライアンス室が無い場合は、外部の窓口相談に相談しましょう。
外部相談窓口:厚生労働省の明るい職場応援団
その際、以下の点をあらかじめ整理しておきましょう。
・ハラスメントだと感じたことが起こった日時
・どこで起こったのか
・どのようなことを言われたのか、強要されたのか
・誰に言われたのか、強要されたのか
・そのとき、誰がみていたか
引用元:利用の流れ
まとめ
私の個人的な考えですが、こういうパワハラ上司を管理職にしている時点で、その会社の将来性は非常に低いと思います。
もちろん、数ある中でたまたま今の上司がパワハラをしている場合は、運が悪かったのかもしれませんが、会社全体の風土としてそのようなことがまかり通っているような所は、今後数年で状況が改善されるとは思えません。
ブラック企業という言葉が、世の中に広く認知されるようになってきましたが、私はまずあなたの健康・命を最優先してほしいと思います。
残り何十年とある会社員人生を考えた場合、転職も含めて視野に入れることをお勧めします。