【2020年版】海運・重工業界(防衛産業)の就職偏差値ランキングを解説するぞ!!
この記事では、海運と重工業界(防衛産業)をまとめて解説する。
海運業界:世界中の工場で稼働率が下がる。それに伴い船舶の輸送量が大幅に減少する。
重工業界:他業界に比べ安定しているが、部品の調達や設備の稼働には大きな影響がある。
前置きはこれくらいにしてまずは就職偏差値ランキングをご覧あれ!!
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海運業界の就職偏差値
海運業界
Sランク
日本郵船、商船三井
Aランク
川崎汽船
Bランク
NSユナイテッド海運、飯野海運、明治海運、川崎近海汽船、栗林商船、乾汽船、共栄タンカー、東京汽船
Cランク
第一中央汽船、関西汽船、佐渡汽船、玉井商船
海運業界の解説
海運業界の仕事内容
海運業は船舶で荷物を運ぶのが仕事だ!!
日本の物流の中でも船舶の輸送は99.6%を占めており(残り0.4%は飛行機)、まさに世界と日本をつなぐ要の産業といっても過言ではない。
画像:物流のかなめ、海上輸送船
業界を大きく分けると①日本の国内の海上輸送を行う「国内輸送」と、②海外に輸送を行う「海外輸送」の二つに分類される。
①・②のいずれも船舶(貨物船)を利用して荷物を運搬するのが特徴だ!!
輸送する物資に応じて使用する船舶(貨物船)が異なり、オイルタンカー、LNG船(液化天然ガスの輸送)、バラ積み船(ドライバルクとも呼ばれ石炭や鉄鉱石などを運ぶ)、コンテナ専用船、自動車船などを利用する。
海運業者は、造船会社(※)から船舶を購入し、保守・メンテナンスをしながらこの事業を運営している。
※今治造船、ジャパンマリンユナイテッド、大島造船所あたりが有名。
海運業界の今後の動向
この業界は外部の影響を受けやすいのが特徴だ!!
1つ目は景気の影響!!
不況でモノが売れなくなると、製品や商品の出荷量が減るため、輸送する荷物の量も減少する。
海運業界にとって、荷物はいわば「お客さん」で、これが少ないとこの業界の商売は成立しない。
海上貨物の輸送量は、これまでは右肩上がりで成長を続けてきたが、今後は減少に転じることが予想される!!
出所:NYKレポート2019
2つ目は、石油価格!!
船舶を動かすには、石油が大量に必要になる。
そのため、石油の値段があがると運搬コストが増え、海運業者の利益は減ってしまう。
石油の原材料である原油が安くなるのはプラス、原油が高くなるのはマイナスに作用する。
3つ目は、為替レート!!
海運業はグローバルにビジネスを展開することから、米ドル決済が主流だ。
そのため、円高に振れると利益が目減りする構造になっている。
以上を踏まえると、石油価格の下落は追い風になるが、景気動向と為替レート(円高)はよろしくなく、事業環境は厳しくなることが予想される。
なお、事業再編(M&A)のメリットは輸送効率の向上だ!!
大量のモノを一度に同時に運ぶ方が、コストは安くなる。
海外勢(特に欧州企業)が業界再編を繰り返し、巨大化しているが、日本の大手3社(日本郵船、商船三井、川崎汽船)もそれに対抗すべく、コンテナ船事業を統合し「オーシャンネットワークエクスプレス」(ONE)を設立し、世界7位の位置(世界シェア6.1%)につけている。しかし、利益率はまだまだ課題が大きい。
海運業界の就職偏差値上位企業
日本郵船
国内業界最大手の海運会社。2019年度の売上高は1兆8,239億円、当期純利益は-445億円と赤字になっている。
赤字の理由は、オーシャンネットワークエクスプレス(ONE)の貸船が想定していた市場の需要に追い付かなかったことが原因。
これにより310億円を特別損失として計上した。
さらに、ドライバルク船の構造改革したことも影響し(100億円を追加で特別損失計上)計445億円の最終赤字に転落した。
足元の業績は今一つだが、LNGのキャパシティー6.3%で世界1位、自動車専用船隊103隻保有で世界1位、ドライバルカー船隊(鉄鉱石・石炭などを運ぶ船)179隻保有で世界2位と特定分野に強みを持つ。
世界15都市を結ぶ航路ネットワークと、357拠点に倉庫(食料品・日用品・電化製品など)を保有する、日本を代表する海運会社である!!
出所:NYKレポート2019
出所:NYKレポート2019
平均年収は958万円(平均39.6歳)と商船三井と並んで業界内の年収はトップクラス!!
福利厚生、ボーナスも非常に良い!!ただし、会社の体質は古く、年功序列でガチガチだ!!
採用に関しては学歴フィルターがバキバキに効いているため、旧帝大、早慶レベルでないと難しい。
年間採用人数は50名程度と狭き門で、文句なしのSランク企業である!!
商船三井(MOL)
業界2位の海運会社で、2019年度の売上高は1兆2,340億円、当期純利益は269億円。
保有する船の数は857隻と日本一の規模を誇る!!
出所:MOLレポート2019
これまでドライバルクを経営の柱に据えてきたが、今後は経営資源の重点投入分野の筆頭として海洋事業に力を入れることを宣言している!!
海洋事業のトピクスを一つ上げておくと、実は商船三井はアジアの中で唯一のFSRUを保有する船会社である。
FSRUとは「浮体式LNG貯蔵再ガス化設備」を意味し、陸上ではなく海上の船にあるLNG受入基地だ!!
商船三井のFSRU
商船三井の平均年収は986万円(37.0歳)と業界1位の日本郵船よりも好待遇だ!!
こちらも採用人数は年間50人ほどで、学歴フィルターは旧帝大・早慶が最低ラインとなっている。
東京海洋大学(主に技術系)からの採用者が全体の12~3%を占める。
川崎汽船
川崎汽船は業界3位の会社で、売上高8367億円、当期純利益-1,111億円と海運大手の一角だ。
電力炭船、自動車船などに強みを持っている。
当期純利益-1,111億円と、大手の中でも業績悪化が目立つ!!
この理由は、日本郵船や商船三井と共同設立したオーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)への船舶の貸し出しが原因だ。
川崎汽船はA社から船を100万円で借りたとする。
普通ならこの100万円に利益を上乗せし、(例えば)120万円でONEに貸し出すのだが、船の借り賃が予想以上に上がってしまったため、契約の関係から貸せば貸すほど赤字の状態に陥ってしまったのだ。
そのため、川崎汽船は違約金を払ってでも契約期間満了前に、契約を解除することを決定した!!
とりあず、この問題には終止符を打ったのだが、色濃いダメージが残ってしまった。
川崎汽船の平均年収は831万円(38.2歳)と日本郵船・商船三井よりは100万円ほど少ないが、赤字でもこれだけ貰えるのだから待遇は良いといわざるを得ない。
採用人数は年間15~20人と大手二社の半分以下と少ない。
非財閥系ということもあり、旧帝大でなくとも有名私立大学からでも内定は狙える!!
社風はアグレッシブだ!!
なお、慶応大学の採用が全体の2~3割をしめる。
重工(防衛)業界の就職偏差値
重工(防衛)業界
Aランク
三菱重工、川崎重工、IHI(旧:石川島播磨重工)
Bランク
三菱電機、NEC、富士通、三菱日立パワーシステムズ、三菱ロジスネクスト
Cランク
コマツ、東芝インフラシステムズ、JXTGエネルギー、日立製作所、ダイキン工業、コスモ石油マーケティング、日本製鉄所、GSユアサ、伊藤忠エネクス
三菱重工業
三菱重工業は売上高4兆783億円、当期純利益1013億円と日本の重工・防衛産業の中核的な存在だ!!
ここ5年間の売上高は安定しており、当期純利益は600億~1100億円の間で推移している。
三菱重工業は主に3つの領域で事業展開をしており、社会全体の重厚長大なインフラシステムを構築している。
事業 | 事業内容 | 受注高 |
パワードメイン | 火力発電システム、原子力機器、 風力発電機器、航空機用エンジン、コンプレッサ、環境プラント、舶用機械 | 36.7% |
インダストリー&社会基盤ドメイン | 物流機器、ターボチャージャ、エンジン、冷熱製品、カーエアコン、製鉄機械、船舶、交通システム、 化学プラント、環境設備、機械システム、工作機械 | 47.6% |
航空・防衛・宇宙ドメイン | 民間航空機、防衛航空機、飛しょう体、艦艇、特殊車両、特殊機械(魚雷)、宇宙機器 | 15.7% |
出所:三菱重工業 アニュアルレポート2019
ただし、事業内容がかなりマニアック且つ専門的なので、「俺●●の仕事やってます」と言われても「あぁ、それね!」という反応が返ってくることは、はまずない(笑)!!
しかし、日本の防衛産業を担う会社だといえば、身近に感じる人もいるのではないか?
三菱重工業は1884年に長崎で造船業を営む会社としてスタートしたが、その後、自動車、航空機、タンカーなど事業を展開、発展してきた歴史がある。
会社のホームページにはあまり詳しく書きたくないのか、伏せられているが、戦闘機・武器等の開発力は世界屈指のレベルである!!
画像:日本の防衛産業のかなめ、三菱重工業
そのためJT(日本たばこ産業)と並んで死の商人と呼ばれることも・・・しかし、死の商人系の企業は「隠れ最強企業」が多いのが実態だ・・・。
おそらく、このあたりはやっかみも入っているだろう。
三菱重工業は、日本の防衛産業の要の企業であり、陸・海・空・宇宙までの全ラインナップを取りそろえており、世界最高レベルの技術力を誇っている!!
しかし、トランプ政権に代わってから、米国製の防衛設備・機械を購入する機会が増加し、三菱重工ら国内メーカーへの発注額が少なくなりつつある。
現に、日本政府は弾道ミサイル防衛対策、米国製のイージス・アショア2基を2,343億円で調達する計画だ。
政治的な問題はもちろんあるのだが、このような動きは国内の業界再編成にも大きな影響を与えるだろう。
三菱重工業の平均年収は848万円(40.1歳)と業界内では圧倒的に高い。
内定を取るのは非常に難しく、採用者のほとんどが旧帝大と早慶、それ以外の大学は1割程度とバキバキの学歴フィルターが存在する!!
川崎重工業
川崎重工業は売上高1兆5794億円、当期純利益は274億円の業界2位の会社だ。
売上高は、ほぼ横一線で推移しており、過去3年間の当期純利益は200億円台で推移している。
川崎重工業も、三菱重工業に負けないくらいの幅広い事業ポートフォリオを持っているが、メインは以下の4つだ。
①陸・海・空の輸送
②クリーンエネルギーの創出
③インフラ整備
④AI・ロボットを活用した労働力不足への対応
出所:Kawasaki Report 2019
グラフにある通り、川崎重工業は航空宇宙システムが強い!!
1980年代から宇宙機器の開発・製造を手掛ける国内有数の宇宙機器メーカーでもあり、JAXAの強力なパートナーになっている。
ロケットや技術が進化するにつれて、種子島宇宙センターの設備を整備・改修に携わってきた名門企業だ。
海外に21の主要拠点を持ち、売上高の58%(米国29%、欧州12%、アジア・オセアニア17%)を海外で稼ぐグローバル企業でもある。
年収は707万円(38.7歳)と平均年齢が若いこともあり、三菱重工と比べると低めの設定になっている。
年功序列が徹底しており、社内の競争意識は低め!
コツコツ仕事に打ち込みたい人向けの会社だ!!
IHI(旧:石川島播磨重工)
売上高1兆4834億円、当期純利益399億円の総合重機メーカーだ。
事業概要は以下の通りで、航空エンジンが全体の3割を占める重要な事業となっている。
橋梁・水門が5%となっているが、これまでに国内外で14,000件以上の橋を建設したり、4,000以上のダムの水門工事などを行っている。
それからシールド掘進機といって、地下鉄や道路の中にトンネルを作るための機械を製造しており、国内シェアの44%を保有。
その他、様々な分野の機械でシェアNo.1を多数保有しているが、非常にニッチな分野が多いため、細かい解説は控えるが、世界レベルで十分戦える会社であることは間違いない。
ちょこちょこM&Aも行っている。
平均年収は762万円(39.9歳)となっており、安心して働くことが出来る。
それ以外の会社
ランキングに掲載されているその他の会社は、重工(防衛)以外に別にメインの本業があり、一部分でこれらの事業を行っている所が多い。
メイン事業だけで比較した場合は、偏差値ランキングの順位は大きく変わることを申し伝えておきたい。
まとめ
船舶・防衛の両業界を見てきたが、共通して言えることは、規模が大きくグローバルで「色々」やっているという事である。
「色々」の部分については、正直全て把握している必要はない!!
例え、現役の社員であっても自社の全ての事業を完全に理解はしていないし、する必要もないのが現実だ。
就職・転職時は、業界全体の大枠の仕事内容を把握し、その中で自分が興味をもった部分を深堀りしておくことが大切だ!!
ここに書いたような会社は、学歴フィルターの強い会社がほとんどだが、少しランクを下げると難易度は下がるので、この業界と仕事に興味を持ったひとは積極的に応募をして欲しい。
登録・利用は無料!!
不況で市場から求人が消滅する前に、早めに動くことをお勧めする!!
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